大地リカバリー治療院

なぜ深層筋なのか

【深層筋の役割】

頸部や体幹の筋は身体を動かす動筋として働くだけでなく、静的な姿勢を保つ際に重力に抗する姿勢保持筋としても作用し、脊椎の安定に重要な役割を果たしています。このような姿勢保持筋がないと体幹は直立を保てなくなり倒れてしまいます。

上図は左手でボールを持った人間のCGです。
筋力検査の教科書では赤線の部分(三角筋・棘上筋)が働くとありますが、青線の部分(前側は腹筋、後ろ側は背筋)が胴体を固定してくれているからこそ、この姿勢が可能となります。つまり、じっとしている時だけでなくあらゆる動作に「固定する」事が必要になるのです。じっとしている時も動く時も働くので、疲労しやすい事は容易に想像できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背骨は上左図のようにジャバラのような構造となっています。一つ一つが関節を成しており全体として大きな可動性があります。表層筋は面積が大きく脊椎の多くの分節をまたいで付着しています。対して深層筋は椎体のひとつひとつを連結して個々の脊椎を安定させています。脊柱の場合、表層筋だけ働くと上右図のように背骨が不安定になってしまうのです。

また、肩や股関節も表層筋と深層筋があり、表層筋は大きな力を発揮する時に、深層筋は関節の安定化や関節運動の制御に大きく関わっています。代表的な筋肉を紹介します。深層筋と浅層筋の分類は統一されたものがなく私なりの解釈であります。

頸部

 表層筋  胸鎖乳突筋、僧帽筋上部線維、脊柱起立筋
 中間筋  斜角筋、肩甲挙筋
 深層筋  頭半棘筋、頚板状筋、頚長筋、小後頭直筋、大後頭直筋、

 

肩関節

 表層筋 僧帽筋、三角筋、大・小菱形筋、大・小胸筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、烏口腕筋、大円筋、広背筋、前鋸筋
 深層筋 棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋

 

腹部

 表層筋  腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腰方形筋(側部)、脊柱起立筋
 深層筋 腸腰筋、 腹横筋、多裂筋、腰方形筋(深部)、回旋筋群(深部)など

 

股関節

 表層筋  大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋、縫工筋、大内転筋、長内転筋、薄筋
 深層筋  腸腰筋、小殿筋、上・下双子筋、梨状筋、内閉鎖筋、大腿方形筋

 

上記のように「深層筋」というのは珍しいものではありません。
例えば小殿筋は中殿筋と腸骨の間に付いていますが、中殿筋からの圧力がかかった場合、逃げ場がありません。そのまま腸骨に押し付けられた格好となります。大腰筋は下が腸骨なので圧力はかかりませんが腰から上(体重の2/3)を制御するため相当な負荷がかかります。骨に付着している筋肉は骨付近で酸欠が起こりやすく、大腰筋や梨状筋など骨の受けが無い筋肉は筋腹が治療ターゲットとなります。この時間が長くなれば圧迫による酸欠となり、発痛物質が滞留し炎症→筋緊張という悪循環が始まります。

では浅く刺した方がいいのか深く刺した方がいいのか。木下晴都は坐骨神経痛患者を腰部の深針群と浅針群に分けて効果を比較し、深く刺した方が効くと結論づけました。その比較対照の論文により鍼灸師として医学博士号を受けました。そのメカニズムは75mmの鍼を神経根付近へ至らせることで、神経の軸索反射が起こるとしました。また、ネズミの筋肉へ刺鍼し、どの角度で刺鍼すると筋肉疲労が消えやすいかという実験もしました。彼は坐骨神経痛を梨状筋症候群と傍神経刺に分けて治療する解剖的な鍼治療を確立しました。

ただ注意すべきは深刺は内臓を傷つける恐れがあります。そのため「刺鍼事故」や「断層解剖カラーアトラス」「プロメテウス解剖学アトラス」などで中の構造について、過去どのような事故があったのか、十分理解を深めます。

上記のような根拠で施術を行い大きな成果をあげています。組織をピンポイントでやっつけるのに、とても有効な手段です。